マッシブなプロダクトデザイン その2 Sant Boi 鉄道橋



さて2橋目の緑のSant Boi Bridge.



前回の青のLlinars Bridgeでは,全体のポロポーションについて少々批判しましたが,こちらの橋は桁下空間も大きくて,非常にバランスが良いですね.主塔の頭を斜材部より少しだけ出していたり,橋脚にスリットを入れたりと,デザインも凝っています.Llinars Bridgeと違い,障害物を避けるために橋脚を桁より外に張り出して置いている,なんてこともなく,全体として非常にスッキリしています.

PC桁橋への接続部にある橋脚が,主に制動荷重を受け持つ.
青のLlinars Bridgeが狭い場所で,なんとかデザイン的な整合性を取ろうと四苦八苦していたのに比べ,こちらは開けた場所で,シンプルで大胆な造形を,空間のスケールと上手くマッチさせているように感じます.

制動荷重を受け持つ橋脚.なんてことはない造形の中にもスペイン人特有の曲線の使い方が見て取れる.

この橋も押出し工法で施工されました.施工中にも一度見学させて頂いたので,その時の写真もご紹介.

押し出される前の桁.まだ塗装している状態.
デッキ上.コンクリートは所定の位置に着いてから打設されます.
一般的に,スチール構造の設計では,使用性,特に変位量のコントロールが設計の際の支配的なファクターになります.桁を押し出す間の,応力集中や局所的な塑性化には細心の注意が払われました.
 


PC桁部の橋脚
PC桁の打設

[基本情報]


完成年:
2007
機能、種類:
鉄道橋(高速鉄道)
設計:
PEDELTA (Juan A. Sobrino, Javier Jordan, Juan V. Tirado, Ricardo Ferraz, Lara Pellegrini)
施工:
ACCIONA
発注:
ADIF
構造形式:
A composite steel-concrete deck suspended on steel tied curved members
規模:
橋長 870m(コンポジット構造部340+PC桁部530m)
コンポジット構造部の支間割 44 m 63 m 63 m 63 m 63 m 44 m
17m (軌道部14m)
位置:
Located close to Barcelona’s airport in the town of Sant Boi del Llobregat
アクセス:
電車と徒歩で行けます(詳細は後日)


[参考文献]


[1]
Sobrino J. Two steel bridges for the high speed railway line in Spain. Stahlbau. 2010; 79(3) pp.181–187.
[2]
Sobrino J. Design criteria and construction of 9 km-length of High-Speed Railway Bridges in Spain. IABSE Symp Rep. 2003:1–7.
[3]
Llinars Bridge
[4]
Sant Boi Bridge


author visited: 2006-09 / 2007-09

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