2/10/2015

シュトゥットガルトという土地が生んだ新世代の歩道橋



大分時間が開いてしまいましたが,ブログ再開しました!今後は,更新頻度を上げるため,不完全でもまず記事を公開してみようと思います.ネットの特質を活用し,徐々に更新・修正して記事の完成度を高めていく方法を試してみます.そのため記事の内容,表現が変わることが多々あると思うのでご注意下さい.

客観的な情報の正確さには気を使っておりますが,特に学術的な引用で使用する場合は参考元に当ってください.

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シュトゥットガルトにできた新しい歩道橋を見てきました.

近郊列車S-Bahnを跨ぐための歩道橋で,2014年に竣工されました.単径間の鋼製箱桁で,モーメントに従う形でスパン中央で最大となるように断面を取っているという,実に真っ当なエンジニアリング・デザインの橋です.




下から覗くと,断面が橋軸直角方向にも変化していることが分かります.一見複雑な幾何形状に見えますが,断面の高さと幅の比を一定にして,平らな鋼板のみで構成しています.つまり断面は三角形になっていて,下側にフランジとして厚さ50mmの鋼板が組み込まれています.




スパンは28mで,桁高は端部の45cmから支間中央で1.24m.幅員は3.0m.両岸で橋台の高さが異なるので若干の勾配がついています.




この歩道橋の目につくユニークな点は,左右に羽のように広げた防護パネル(独:Berührschutz).通常,付属物として扱われるものですが,ここでは桁と一体化させ,統一性を持ったデザインとなっています.


工場で製作された後,一体化された状態で現場に運ばれ,電車が走っていない夜中のうちに2台のクレーンで架設されました.鋼製箱桁の選定はこの施工条件が主な決め手だったようです.

鮮やかなイエローは,景観の中でアクセントを狙っています.緑に覆われた場所なので,少々奇抜であるとも言えますが,駅や住宅地からも近いため,現地で見てもあまり違和感は感じませんでした.
橋梁端部の横桁

設計者はステファン・エンゲルズマン(Stephan Engelsmann).ヨルク・シュライヒの下でドクターを取得し,ゾーベック事務所で経験を積んだ後に独立した方なので,シュトゥットガルトスクール出身のエンジニアと呼んで差し支えないでしょう.

こういう質の高いエンジニアリング・デザインができるエンジニアが次々と生まれていることに、シュトゥットガルトの伝統の強さを感じます.


(追記 2015-02-15)
下フランジの記述に間違いがあったので,訂正しました.

 
[基本情報]
名称:
Fußgängerbrücke Dürrlewang
完成年:
2014
機能、種類:
自転車歩行者専用橋
設計
ENGELSMANN PETERS GmbH Beratende Ingenieure
発注:
Stadt Stuttgart - Tiefbauamt
構造形式
単径間鋼製箱桁
規模:
橋長28
幅員3.0m
受賞
Ingenieurpreis des Deutschen Stahlbaues 2015 Auszeichnung
位置:
Dürrlewang, Stuttgart,ドイツ
48.713138, 9.110742
アクセス:
S-Bahn Stuttgart-Rohr駅より徒歩5
(シュトゥットガルト空港から街に向かうS-Bahnで下を通ります)


[参考文献]
[1]
Engelsmann, S.:Fuß- und Radwegbrücke Stuttgart-Vaihingen: Ästhetisch, individuell, detailbewußt, 2. Symposium von Geh- und Radwegbrücken, 23.10.2014, München. Tagungsband S. 68-72
[2]
[3]
[4]
Engelsmann, S.; Peters, S.; Spalding, V.; Dengler, Ch.: Neubau Fuß- und Radwegbrücke Hagelsbrunnenweg, Stuttgart, Stahlbau 11/2014

author visited: 2014-12