https://www.footbridge2017.com より ドイツにて9月6〜8日の3日間,第6回国際歩道橋学会(6. International Footbridge Conference 2017)が開催されました.マイク・シュライヒ(Mike Schlaich)(委員長)やローラン・ネイ(Laurent Ney)氏らが組織委員を努め,参加者はおよそ400人.査読を経て採択された約170編の論文と,約80の歩道橋のデザイン提案(後述)が発表されました. 雑誌「橋梁と基礎」2017年12月号にこの学会の報告を載せて頂きましたが,ここでは,スペースの問題で書ききれなかった情報を加筆しています. 携帯で写真を撮っていたため,画質がいつも以上によくありませんがご容赦下さい.雰囲気をお楽しみ頂ければ幸いです. 会場となったのはベルリン工科大学のWeddingキャンパス.ここの建物は1910年にドイツの大手電機メーカーAEGの工場として,建築家ペーター・ベーレンスが設計したものです.私事ですが,ドクター取得のため長らくここに通っていたので,今回は久しぶりの古巣訪問となりました. ベルリン工科大学のWeddingキャンパス外観 本学会は,2002年からパリ,ヴェネツィア,ポルト,ヴロツワフ(ポーランド),ロンドンと3年毎に開催されています. 1990年代後半,ロンドンのミレニアム・ブリッジなど国際的な注目を集めた歩道橋で,歩行者に起因する振動が起きました.そのため,第一回のパリ学会では,振動に関する研究が大きな関心を呼び,以降もこの学会の大きなテーマとして受け継がれています.今回は,そこに新しいテーマが盛り込まれました. Tell a Story...
ポルトのドウロ川(Douro River)には,大きな橋が6つ架かっていますが,その中でもマリア・ピア橋(Ponte Maria Pia)はギュスターヴ・エッフェル(Gustave Eiffel)が設計した橋として有名です. 錬鉄製の2ヒンジアーチ橋で,リスボンに向かう鉄道路線のための橋でしたが,1991年にその役目を隣にかかる橋に受け渡し,現役としては使われていません. 1875年に国際コンペが行われ,エッフェルが一位を取りました.水面からの高さは約60m.川の中に橋脚を立てるよりも,160mという当時世界最大のスパンを飛ばしたほうが経済的になるという試算でした.エッフェルの設計案は最もコストが低く、2位のプランと比べても31%も安かった.2位の案も同じくアーチ橋でしたが,スパン中央の一箇所で桁を支えるためだけにアーチを使用していました.一方,エッフェル案では複数の鉛直材で桁を支えるシステムとして,アーチをより合理的に使用しています. また,後述しますが,アーチの足元をヒンジにした点も経済的には大きなアドバンテージになりました.アーチの梁せいは足元から上に向かって徐々に大きくなっていき,橋を横から見ると三日月型になっています. 一方で横幅は,足元で最も大きく,上に向かって徐々に小さくなっていきます.足元で踏ん張るという形で,風荷重など横向きの荷重に足しても合理的なフォルムになっています.エッフェル塔を挙げるまでもなく,この合理的な3次元のフォルムの美しさこそがエッフェルの真骨頂だと思います. エッフェルは当時若干43歳.この橋が彼にとって初めてのフランス外でのプロジェクトになりました.世界最大のスパン長という条件に対して,2位以下を大きく引き離す高い経済性を,美しいフォルムで提案し,それを実現させた力量はただただすごいの一言. この橋はずっと前から見たい橋の一つでした.理由は,この橋の質が高いからというだけではなく,この橋について昔同僚と議論したことがあるからです. 話はベルリン工科大学在籍時に「Tragwerkslehre」という授業のお手伝いをしていた時に遡ります.意訳すれば「構造デザイン講義」とでも呼ぶべきこの講義は,建築や橋梁のフォルムや構造,その歴史的発展を写真やスケッチなどで解説するものでした. 構造力学や材料力学といった「理論」をいかにして,実際的な「フォルム」へと翻訳するかという点において,構造デザインの教育上では非常に大きな役割を果たしていて,シュトゥットガルト・スクールでは,レオンハルトの同僚であった建築家Curt Siegel(クルト・ジーゲル)が始めたと言われています. その講義の中で,ヨルク・シュライヒは,1889年のパリの機械館(Galerie des machines)に,構造エンジニアという職能の誕生を定義しているという解説がありました. 構造エンジニアという職能の誕生をどう定義するか?...
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The Floating Piers, Lake Iseo, Italy, 2014-16, Photo ...
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